ルミネスバッジ

組合員ならさらにお得に利用が出来ます。

医療機関に求められる放射線漏洩検査と被ばく線量測定の適正管理

エックス線撮影装置を設置している医療機関には、個人の作業中の被ばく線量の測定と6ヶ月以内ごとの放射線漏洩検査が義務づけられているのはご存じですか?

エックス線撮影装置を設置している医療機関は、放射線漏洩検査や被ばく線量の測定を法令に基づいて適正に管理することが義務づけられています。先般、受講した医療安全セミナーで複数の講師が“保健所の立入検査においても重点項目として実施状況がチェックされます”と参加者に注意を促していたところです。以下に放射線被ばく測定の法的根拠をまとめましたのでご覧ください。

放射線測定の義務

放射線の測定は、①放射線従事者が、レントゲン装置使用時に被ばくの不安なく業務に従事するため。②レントゲン室周辺にいる患者さんやスタッフが被ばくしないために実施されています。この根拠となる法令は、医療法施行規則と労働安全衛生法および労働安全衛生法施行令に基づく電離放射線障害防止規則です。 診療所の放射線測定でポイントとなるのは、定期的な放射線漏洩検査(環境測定)と放射線業務従事者等の被ばく線量の測定(個人測定)の2点です。 

・環境測定

 定期的な放射線漏洩検査(環境測定)については、エックス線装置を固定して使用し、使用方法や遮へい壁が一定している場合は、6ヶ月以内ごとに1回、管理区域とその境界などの放射線量を測定し、記録を5年間保存しなければなりません。また、管理区域境界の実効線量は3ヶ月間につき1.3ミリシーベルト以下になるよう管理しなければならないことになっています。

・個人測定

 2点目の放射線業務従事者等の被ばく線量の測定(個人測定)については、放射線業務に従事する者や管理区域に立ち入る者などに対して個人の被ばく線量を測定し、放射線業務従事者については、測定記録を30年間保存することと定められています。

環境測定は、放射線測定器(サーベイメータ)があれば医師、歯科医師が行ってもよい事となっていますが、多くの医療機関は線量測定業務を取り扱う業者に依頼しています。しかし、通常業者に依頼すれば、年間8~13万円もかかり大きな負担になっていることから、ここ数年積算型線量計(クイクセルバッジ等)での測定が増えてきています。

放射線漏洩検査と被ばく線量の測定は法律で義務付けられており、従事者や患者さんの安心・安全のためにも欠かすことはできません。放射線の被爆の実態を把握し、その危険性を最小限にとどめることが医療従事者にとって重要な課題となっています。