あなたが着ている服、誰が作ったものでしょうか?

全国保険医協同組合連絡会は、11月2日に加盟する組合の事務局員が対象の「フェアトレードでともに拓く明日」という題目の学習会を開催しました

「フェアトレード」といえば、組合員の皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?そのような質問に対して、コーヒー豆やカカオなど、食品を思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。
講師の人見とも子さんは、「お買い物とはどんな社会に一票を投じるかということ」として、主に関西を中心にフェアトレード製品を取り扱う「シサム工房」というショップを1999年から運営しています。

ファストファッションの代償を払うのは誰か

人見さんは、講演の参加者に対して、「皆さんが服を買うときに重視するのはなんでしょうか?」と質問。どうしても、価格やデザイン、機能性を重視するという割合が高く、人権や環境に配慮しているかどうかは後景に退いてしまいます。そこで人見さんは、ファストファッションにまつわる事件を紹介しました。

2013年に起きた「ラナプラザの悲劇」と呼ばれる、バングラディッシュでの縫製工場が入居するビルの倒壊事故は、老朽化したビルに無理矢理に増改築を加え、人と機械を詰め込んで働かせていたことで、死者1138人・負傷者2500人以上を出す大惨事となりました。これは、私たちが安く、どんどんと使い捨てていくファストファッションが、人件費抑制というツケを誰に押し付けてきたかを思い知らせる事件でした。

あなたの服、児童労働の綿花かも?

ファストファッションなどの犠牲となるのは、市場となる先進国ではなく、経済的に立場の弱い途上国やいわゆる第三世界の国々で、その中でも立場の弱い女性や子どもたちです。衣服に使われる綿花の栽培では、インドなどまだまだ児童労働(ILOの国際条約で禁止)が行われている現場が多く、そうした綿花が中国で加工され日本に入ってくるというルートがあります。医療材料の原料になっているかもしれないと考えると、恐ろしいことです。

生産者の利益が守られる消費行動を取る

こうした状況を消費者の側から変える活動の1つが、フェアトレードなのです。冒頭に紹介した「お買い物とはどんな社会に一票を投じるかということ」が示すように、生産者の利益が守られる消費行動を取ることが、問題解決の第一歩となります。

組合員の皆さんは、これから、何を重視して服や食品を購入しますか?各地の保険医協同組合や全国連絡会として、弱い立場に置かれた生産者のための活動にどのように取り組めるかが、今後の課題です。