有期労働者は、 契約期間が5年を超えたら「無期転換」できます

有期労働契約の濫用的な利用を抑制し、労働者の雇用の安定を図るため、2012年(平成24年)8月の労働契約法改正(第18条第1項)によっていわゆる「無期転換ルール」が定められました。
これは、同じ事業所で有期労働契約が更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みによって、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるルールのことです。

契約社員・パート・アルバイト、無期転換は全ての有期契約が対象です

契約期間に定めがある「有期労働契約」が同一の会社で通算5年を超える全ての方が対象です(大学の研究者など、一部、例外あり) 。契約社員やパートタイマー、アルバイトなどの名称は問いません。 有期労働契約の派遣社員も対象になります。

無期転換には、労働者からの「申込み」が必要です

無期労働契約へ転換を希望する場合は、労働者からの「申込み」が必要です。「申込み」は口頭でも有効ですが、トラブルを防ぐためにも書面で行うこと。 「申込み」をしたら、会社側は断ることができません。会社は、「申込権」が発生したことを労働者に伝えるよう努める必要があります。対象となる労働者に制度を理解してもらい、無期転換を申込むかどうか、自分で判断する機会を与えましょう。

無期転換申込権が発生しない無期転換ルールの特例

なお以下の特例対象者は無期転換申込権が発生しません
①「5年を超える一定期間内に完了することが予定されている業務」に従事する高度な専門的知識等を有する有期雇用労働者:従事している期間(上限は10年)。
②定年に達した後引き続いて雇用される有期雇用労働者:引き続いて雇用される期間。
特例の適用を受けるためには、計画を作成し、都道府県労働局長の認定を受けることが必要です。

無期契約に転換をするメリット

無期転換ルールは、有期契約労働者が雇い止めの不安を感じることなく、安心して働き続けられるために設けられた制度です。同じ会社で働き続けられることで、将来設計が立てやすくなり、どういうキャリアを積んでいくかということも考えやすくなります。

無期転換についての注意事項

● 通算できる期間の数え方 「通算5年」のカウントは2013年(平成25年)4月1日以降に開始した有期労働契約が対象。 途中で、6か月以上契約がない期間があると、それ以前の契約期間は「通算」には含めません (「クーリング」)。無期転換申込みを避ける目的でクーリングを設けることは望ましくありません。
● 労働条件は、有期雇用のときと同じ(原則) 無期雇用になった場合でも、職務、勤務地、賃金、労働時間といった労働条件は、基本的には直前の有期労働契約と同一になります。
● 雇止めと無期転換権の行使 通算契約期間が5年を超える有期労働者が、現在契約を締結している有期労働契約の満了日までに無期転換の申込みをした場合には、使用者はこの申込みを承諾したものとみなされ、申込みの時点で、申込時の有期労働契約が満了する日の翌日を始期とする無期労働契約がすでに成立していることになります(労働契約法第18条第1項)。したがって、会社は無期転換を拒否することはできません。

「無期転換ルール」の相談窓口

労働基準監督署「総合労働相談コーナー」や都道府県労働局で相談を受け付けています。