65歳以上定年の企業が3社に1社の割合に

人手不足

厚生労働省は昨年末、「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果を公表しました(2024年12月20日)。この報告は2024年6月1日の時点における高年齢者の雇用確保措置に関する企業の実施状況をまとめたもので、従業員21人以上の企業237,052社のデータに基づいています。

高年齢者雇用安定法に基づいて企業は、65歳までの雇用確保のために①「定年制の廃止」、②「定年の引上げ」、③「継続雇用制度の導入」などの措置を導入することが求められています。また、70歳までの就業機会確保のためにも同様の措置が推奨されています。

「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果の主なポイント

(1)65歳までの雇用確保措置の実施状況
・99.9%の企業が実施中(中小企業99.9%、大企業100.0%)。
・実施内容の内訳:継続雇用制度67.4%(1.8ポイント減少)。
・定年の引上げ28.7%(1.8ポイント増加)。

(2)70歳までの就業確保措置の実施状況
・31.9%の企業が実施中(全体で2.2ポイント増加)。
・中小企業は32.4%、大企業は25.5%。

(3)定年制状況の実施状況
・65歳以上定年の企業は32.6%(1.8ポイント増加)。
・21〜30人規模企業では39.1%が65歳以上の定年制を採用。

人手不足の影響で高齢社員の重要性が認識され、進む定年引上げ

定年延長の効果としては「人材確保」や「優秀な社員の活用」、さらには「高齢社員が戦力として働くことができる」という点が挙げられ、大部分の企業がこれに高い効果を感じています。しかし、世代交代や高齢社員の能力維持といった課題も指摘されており、これらの問題解決に向けた人事管理の重要性が強調されています。

医療機関にとっても、ともに経験を積んできた高齢者の活用は将来を左右する重要事項。雇用に関する制度導入は困難を伴いますが、定年引上げを実施する際には、人事制度や退職金も含めた賃金制度の見直しを1日でも早く始めること。制度面でのサポートとあわせて、高齢社員の健康管理や能力向上支援など、総合的な見直しを進めることが求められています。

<集計対象>
■ 全国の常時雇用する労働者が21人以上の企業237,052社(報告書用紙送付企業数252,058社)
・中小企業(21~300人規模):219,992 社
・大企業 (301人以上規模): 17,060 社