60歳定年制は問題がありますか?

定年制を導入するかどうかは各事業所が任意で定められますが、導入するなら就業規則や雇用契約書に明記しなければいけません。

定年退職の年齢は、事業所で自由に規定できます。 ただし、高年齢者雇用安定法(「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」)第8条によって、定年年齢を定める場合は60歳以上としなければならないと定められています。60歳未満(59歳以下)の定年は、法律違反で無効となりますが、60歳定年制自体は問題はありません。
なお、2025年4月からは高年齢者雇用安定法の改定で、65歳までの雇用確保が完全義務化されます。

定年制を導入している事業所の実情

2022年の厚生労働省の調査(就労条件総合調査の概況)から、高年齢者雇用安定法の改正に対応した事業所の実態が明らかです。

定年制を導入している事業所の実情

定年制の有無


定年制を導入している事業所は、全体の94.4%で、定年制を定めていない事業所を大幅に上回っており、ほとんどの事業所では、一定の年齢を区切りとした退職制度を定めています。

定年制の定め方


定年制の定め方別の事業所割合をみると、「一律」が 96.9%(同 97.8%)、「職種別」が 2.1%(同 2.2%)となっています。

医療、福祉分野は、定年制を定めている事業所は99.3%で1000人以上の企業と同じ割合ですが、ほとんどが一律に定めている状況です。

一律定年制における定年年齢の状況

一律定年制を定めている事業所のうち、「65 歳以上」を定年年齢としている事業所割合は 24.5%(2017年調査 17.8%)で過去最高。
事業所規模別では、「1,000 人以上」 17.8%、「300~999 人」 14.1%、「100~299 人」20.8%、「30~99 人」 27.0%となっています。

医療、福祉は、60歳定年とする割合が66.1%と低く、65歳以上が30.2%と最も高くなっており、高齢者の雇用割合が高くなっているのが特徴的です。

次回は、「一律定年制における定年後の措置」をみていきましょう。