厚生労働省では、働き方の多様化に対応するため、労働基準法などのより抜本的な見直しも視野に入れた議論が進んでいます。
労働基準関係法制の改正に向けて、今年1月より開催されている労働基準関係法制研究会。11月12日に開催された第14回会合で「議論のたたき台」の資料が取りまとめられ、公開されました。
たたき台
このたたき台で、二つの視点に基づいて制度を検討するとして、次の項目を挙げています。
①全ての働く人が心身の健康を維持しながら幸せに働き続けることのできる社会を目指す 。
② 働く人の求める働き方の多様な希望に応えることのできる制度を整備すること(様々な働き方に対応した規制)
○ 法制度の検討を行うに当たっては、その制度が、
・法的効果の対象者である労働者をどう捉えるのか(労働者性)(事業)
・具体的な法的効果(規制の内容)
・シンプルで分かりやすい制度(共通原則と労使合意による現場の実情に合わせた調整) の相互の関係を捉えて論ずる必要があるため、以下の4本の柱で検討する。
(1) 労働基準法における「労働者」について
(2) 労働基準法における「事業」について
(3) 労使コミュニケーションの在り方について
(4) 労働時間法制の具体的課題について
中でも「労使コミュニケーション」「労働時間法制の具体的課題」の項は詳細に触れられており、議論の中心的課題であることが分かります。
懸念される研究会の姿勢
こうした委員会の姿勢に対して、労働組合などは
・労働法による規制は労働者の健康確保などに関わる最低限のルールだけとし、労働時間の設定などの細部は労使自治に委ねるなどの見直しが必要と主張している。
・労使自治の名のもとに、労働基準法のデロゲーション(適用除外)として、労働条件の最低基準を守らなくてもいいとする形骸化が進められる。
と危機感を募らせています。
労働基準法の規制、とくに労働時間規制は、不十分な上に順守されず過労死も頻発しています。いま必要なことは、規制からの逸脱を拡大するのではなく順守を徹底すること。そうした観点からも労働基準関係法制研究会の議論の方向性に注目が必要です。