雇用契約書は毎年更新しないといけないの?

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「労働問際に詳しい先生から雇用契約書は毎年更新しないといけないって聞いたんですけど本当ですか?」。とある歯科診療所に伺った際にこんな質問を受けました。皆さんはどう思いますか?

そもそも雇用契約書とはどういう項目を定めないといけないか?まず、そこから考えてみましょう。

求められるのは「使用者が労働者を雇用する時」

労働基準法第15条には、

「使用者が労働者を雇用する時は、賃金や労働時間等の労働条件を書面などで明示しなければなりません。」と記載され、労働条件通知書を渡すことを必須としています。

また、労働契約法第6条には、

「雇用契約は、労働者および会社が合意することによって成立します。」とあります。雇用契約とは、会社と社員の双方が労働条件を合意することで成立する契約です。

労働条件通知書と雇用契約書

なお、労働条件通知書は、会社が労働者に対して労働条件を「通知」するための書面ですが、雇用契約書は、労使間のトラブル防止のために、「通知」だけでなく、双方が合意したことを証明するものでもあるのです。

労働条件通知書、雇用契約書の説明が長くなってしまいましたが、労働条件には書面の交付によって明示しなければならない事項と、口頭の明示でもよい事項の2種類があります。

なお、上記の(1)~(5)は書面で明示しなければならない事項で、(6)~(14)は口頭の明示でもよい事項です。 また、就業規則に当該労働者に適用される労働条件が具体的に規定されていて、労働契約締結時に労働者一人ひとりに対し、その労働者に適用される部分を明らかにしたうえで就業規則を交付すれば、再度、同じ事項について、書面を交付する必要はありません。

雇用契約書を毎年交付してはいけないという決まりはありません

このように雇用契約書は、使用者が労働者を雇用する際に求められるもの。期間の定めのない契約であれば最初の契約時に、1年の有期契約であれば当然のことながら1年に1回、契約の更新があり、新たな雇用契約を締結することとなります。

最初の設問に戻りますが、雇用契約書を毎年交付してはいけないという決まりはありません。期間の定めのない無期契約であっても、労働条件を確認しあって毎年、雇用契約書を取り交わすことで、「内容を誤解していた、見落としていた」といった問題を防ぐためにも役立ちます。

雇用契約書、雇入れ時だけでなく、1年に1回取り交わすことでコミュニケーションツールとしての有効活用を検討してもいいかもしれませんね。