さて、今月からは就業規則の作成や改定の際に出てくる疑問に答えていきましょう。まず第1回目は「違いがよく分からない!」と言われる「振替休日と代休の違い」から始めます。厚生労働省のホームページを検索すると「振替休日と代休の違いは何か。」というページが出てきます。ここから見てみることにします。
質問
振替休日と代休の違いは何か。
回答
「休日の振り替え」とは、予め休日と定められていた日を労働日とし、そのかわりに他の労働日を休日とすることを言います。これにより、予め休日と定められた日が「労働日」となり、そのかわりとして振り替えられた日が「休日」となります。従って、もともとの休日に労働させた日については「休日労働」とはならず、休日労働に対する割増賃金の支払義務も発生しません。
一方、いわゆる「代休」とは、休日労働が行われた場合に、その代償として以後の特定の労働日を休みとするものであって、前もって休日を振り替えたことにはなりません。従って、休日労働分の割増賃金を支払う必要があります。
ポイントは「あらかじめ」休む日が決めてあるかどうかです。
振替休日は事前に、代休は事後に設定される
振替休日は、あらかじめ休む日を決めておく
振替休日の場合、法定休日における労働が行われる前の段階で、あらかじめ法定休日と労働日が振り替えられます。また、振替休日は労働日と休日を入れ替えただけなので、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えない限り割増賃金は発生しません。
上記の例では、法定休日だった日曜日を労働日に変えて、元は労働日だった水曜日を休日として扱っているため、日曜日は休日労働にはなりません。休みを振りかえたことによって休日労働は発生せず、割増賃金の支払い義務も発生しないということです。
働いた後に休む日を決める代休
これに対して代休は、法定休日における労働が行われた後に労働日が休日へと変更されます。
もともとの法定休日である日曜日に休日労働を行いその後に、水曜日を休日(労働義務を免除する日)に設定しています。この場合は休日労働をしたことになるため、割増賃金の支払い義務が発生するのです。
振替休日を実施する場合は、休日出勤の前日までにあらかじめ出勤日と休日を伝えることがルール。事前に休日を決めていない場合は、そもそも別の日に休日を振り替えることはできません。
振替休日と代休の要件
代休を命じる場合には36協定を締結し、労働基準監督署へ届け出ることが必要。所定休日や法定休日の出勤によって、法定労働時間を超えた労働が発生することになるからです。一方、振替休日の場合は必ずしも36協定を締結する必要はありません。ただし、週をまたいで労働日と休日を入れ替える場合、法定労働時間を超えるため、36協定の締結と申請が必要になります。
振替休日と代休の違い、お分かりいただけましたか。