アメリカ・イスラエルとイランとの戦争は、4月8日の停戦合意以降もホルムズ海峡での影響力をアメリカ、イラン双方が主張しあうなど、解決には程遠い状況です。
また、イスラエルによるレバノン侵攻は停戦が17日に遅れ、現地で医療支援を行う国境なき医師団が、イスラエルの攻撃による民間人の被害の様子と支援の必要性を報じています。
本紙執筆時点(4/28)では、原油やナフサなどの先物価格は高水準で推移しており、医療材料をはじめとする石油精製品や燃料の供給および価格への影響が現れています。
日本の精油システムの特徴
医療材料をめぐる日本政府の具体的な動きとして、グローブの備蓄放出が5月から開始されます。
グローブの原料は石油由来の製品(合成ゴムや薬品)で、日本国内だけでなく、生産工場のある東南アジアでの備蓄にも限りがあるため、中東地域からの原油輸送が大幅に減少している現状から、抜本的な改善は見通せません。
日本の原油依存割合では、2025年は中東産原油が約94%です。石油の成分は産地によって異なるため、現在の日本の精油システムは中東産原油に適した構成となっています。
政府の見通しでは、当面は国内の備蓄を放出し、アメリカ産原油の輸入量を拡大して備蓄放出量を抑える予定ですが、精油設備の変更が必要となる点には留意が必要です。
様々な製品で遅延と欠品
全国保険医協同組合連絡会では、医療用材料の流通状況について、各県担当者で意見交換を行いました。
各地の保険医協同組合でも特定の材料で欠品や、メーカーからの値上げの連絡を受けている状況です。
長野県保険医協同組合でも、グローブ・不織布製品などで出荷制限を受けていますが、現状では遅延しながらも手配を続けられています。
また、消毒用アルコールでも納期の遅延が発生しており、大阪の組合では醸造メーカーと提携して販売中の「アマノール」の注文が増えています。
その他、ニプロ株式会社では、原材料の備蓄を行っていることから、製品供給は続けられていますが、価格改定が行われ、長野県保険医協同組合では6月以降注文分から一部の製品で改定を行います。
戦争による破壊と混乱
コロナ禍以降、ロシア―ウクライナ戦争とアメリカ・イスラエル―イラン戦争により、諸物価が上昇を続けています。
もちろん、気候変動や円安など、戦争のみが価格高騰の原因ではありませんが、原油価格は戦争の度に顕著な高騰を示し、戦争が終結しない限り、現状では中東からの原油輸入の抜本的な改善は見込めません。
すでに建築関係では、深刻なシンナーやプラ原料不足により、仕事の受注ができないなど、生活に直結する影響が生じています。
戦争の破壊と混乱により、私たちの社会の一部が機能不全に陥ることで、他の分野に与える影響を冷静に見定める必要があります。