就業規則の作成義務は?

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皆さんは法律の改正で就業規則の変更が必要になった際に改定作業をしていますか。この間、退職年齢の引き上げや法定外労働時間の制限。ハラスメント行為の禁止など新しい法律の成立などで就業規則の改定を求められる場面が増えています。

就業規則は・・・従業員の賃金や労働時間などの労働条件に関すること、職場内の規律などについて定めた職場における規則集です。
職場でのルールを定め、労使双方がそれを守ることで従業員が安心して働くことができ、労使間の無用のトラブルを防ぐことができるので、就業規則の役割は重要です。

この度、開業してから20数年たった医療機関から、ご子息への代替わりをきっかけに就業規則改定作業の依頼を受けました。その中で出てきた問題などをシリーズでご紹介できればと思います。

最初に知っておきたい就業規則の作成義務

就業規則の作成が求められるのはあくまでも従業員10人以上の職場です。9人までの職場では作成義務はありません。但し9人までの職場でも就業規則を定めることで、従業員と使用者の権利と義務を明確にすること。何をして、何をしてはいけないかの基準を明確にすることが働きやすい職場づくりに欠かせないことは言うまでもありませんので作成をお勧めします。

1.就業規則に記載する事項

就業規則に記載する内容には、必ず記載しなければならない事項(絶対的必要記載事項)と、当該事業場で定めをする場合に記載しなければならない事項(相対的必要記載事項)があります(労働基準法第89条)。

2.就業規則の効力

就業規則は、法令や労働協約に反してはなりません(労働基準法第92条)。就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効(※)となります(労働基準法第93条、労働契約法第12条)。※無効となった部分は、就業規則で定める基準が適用されます。

3.就業規則の作成・変更、届出の流れ

就業規則は、各作業所の見やすい場所への掲示、備え付け、書面の交付などによって労働者に周知しなければなりません(労働基準法第106条)。

4.就業規則の周知

常時10人以上の従業員(※)を使用している事業場では、就業規則を作成し、過半数組合または従業員の過半数代表者からの意見書を添付し、所轄労働基準監督署に届け出る必要があります(労働基準法第89条、90条)。また、就業規則を変更した場合においても同様です。

就業規則をまだ作っていない場合や、古いままだったと思われた医療機関の皆さんには、「医院経営と雇用管理」(保団連発行)でのチェックをお勧めします。