全国保険医協同組合連絡会では毎年、加入している各府県の事務局員を対象に学習会を開催しています。今年度は長野県中小企業団体中央会の土屋明さんを講師にオンラインで学習会を開催しました。
全国連絡会の事務局学習会は、これまで生活クラブ生協の河野さんや伊那食品工業(かんてんぱぱ)の塚越社長を講師に招いて、各地の協同組合の事務局が参加し開催してきました。
昨年度は新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて学習会は延期となり、今回は2年ぶりの開催です。長野県中小企業団体中央会(以後、中央会)の土屋明さんに講師を務めてもらい、現在の協同組合に求められる役割と実践についてお話いただきました。
協同組合には、株式会社とは違い利益配分を行わないことや、組合員による自主管理(民主的管理)など、収益性だけではなく独自の使命を掲げて、また民主的に活動を行うという特徴があります。しかし現在、地域過疎化や人口減少、それに伴う経済規模の縮小、またネット環境の整備などによるライフスタイルの変化から、協同組合を取り巻く環境は悪化し、従前の事業を行うだけではなく組合加入のメリットの質を高めることが求められています。
住民アンケートを実施し地域の要望を把握
講師の土屋さんは、「組織の顧客を見つける」として、組合員の「顧客」(保険医協同組合では患者さん)に注目した活動を行うこと(組織の役割の変革)が必要と話します。
1つの事例として諏訪市の商店組合が街灯の維持・更新を行った取り組みを紹介しました。全長1kmに及ぶ商店街の街灯は東日本大震災以後の電気料金上昇で維持が困難になり、何らかの対応が必要でした。組合員だけでなく地域住民にもアンケート調査を実施し、防犯や歩道の危険個所の把握といった地域の声を集約できたことで、行政の補助金を受けられ、現在ではLED化など効率的な管理が可能となりました。
「顧客」は何を求めているのかを明らかにすることは、本紙でも何度か紹介した「協同組合は組合員だけでなく地域社会へコミットすること」で、諏訪の商店組合における街灯維持ではまさしくこれが実践されたのです。
こうした活動は組合組織の存在意義を組合員や地域住民に示すことができ、組合参加の新たなメリットと言えるでしょう。
組合員と事務局という枠組みを越えて、保険医協同組合が地域における存在意義を確立できるよう、新たな活動が求められています。(事務局 中瀬)