最近の医療機関トラブルの傾向を知る

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その口コミ本当に患者さんのものですか?

1月19日(日)に長野県保険医協同組合では、尾内康彦さん(元大阪府保険医協会事務局次長)を講師に医療安全管理講習会を開催しました。


最近の医療機関トラブルの多くは、SNS上でのクチコミによるものとなっており、尾内さんに寄せられる相談は、以前のような窓口や院内でのトラブルからネット上でのクチコミへの悩みへと移行してきているそうです。

SNS上のクチコミトラブル対応の難しいところは、たとえ医療機関の評判を貶める投稿であっても、投稿者の「感想」という体裁で書き込まれると、ポリシー違反としてサイト運営元に削除要請しても、実際の削除が難しいことです。

誹謗中傷に対する損害賠償請求を行うにも、投稿者の特定にかかる時間と労力、弁護士などの費用に、嘘を嘘であると証明することの困難さから、医療機関側が大きく振り回されてしまう事例も発生しています。

こうした事態に、医師によるサイト管理者のGoogleへの集団提訴や、日本医師会が書き込み問題の相談窓口を設置するなど、対応が少しずつ広がっています。

業者によるマッチポンプに注意

尾内さんによれば、クチコミには実際に来院した患者の投稿と、そうではなく詐欺目的で業者が投稿したものとが存在します。

ネット上のネガティブなクチコミに対しては、まず初めに内容を精査して、書き込みをしたのが、来院した患者なのか、業者であるのかを考えながら対応することが必要です。

患者によるクチコミに対しては、無視してよいもの・返信機能を使用して冷静に反証を行う・警察へ相談(被害届)・精神疾患を念頭にいれて対応、などの方法があり、いずれの場合でも、当該患者との対応履歴などの情報をできるだけ保存しておく必要があります。

最近は、クチコミを有料で削除すると宣伝する業者が、患者を装ってネガティブなクチコミを投稿し、その業者が自身の投稿を削除して報酬を請求するマッチポンプの手口が増えています。

クチコミへの対処にお困りの組合員は、当組合へご相談ください。また、尾内さんはトラブル事例の収拾も行っていますので、お気づきのことがありましたら、当組合あてで構いませんので、情報をお寄せください。