政府は、仕事と育児・介護の両立を目指して、育児・介護休業法等の改正を行いました。本年4月1日から段階的に施行されます。

1.子どもの年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充
①柔軟な働き方の措置義務化
事業主は、3歳から小学校就学前の子どもを養育する労働者に対して、始業時刻等の変更、テレワーク等(10日/月)、保育施設の設置運営等、新たな休暇の付与(10日/年)、短時間勤務制度の5つの選択肢から、2つ以上の措置を選択して講ずる必要があります。労働者はその中から1つを選択して利用することができます。
②所定外労働の制限の対象拡大
小学校就学前(旧:3歳未満)の子どもを養育する労働者は、請求により残業免除の対象となります。
③育児のためのテレワーク
3歳未満の子を養育する労働者がテレワークを選択できるよう措置を講ずることが、事業主に努力義務化されます。
④子の看護休暇の見直し
名称も「子の看護等休暇」に変更され、対象が小学校3年生修了まで拡大されます。現行制度は、子どもの病気やけが、予防接種・健康診断の際に取得できますが、感染症対応や学校行事などが追加され、労使協定の除外要件「引き続き雇用された期間が6ヶ月未満」が撤廃されます。
⑤個別の意向聴取・配慮の義務
労働者に対する妊娠・出産や育児に関連する個別相談が義務化、事業主はニーズに応じた勤務形態の配慮が求められます。また、面談や書面の交付により意向を聴取しなければなりません。聴取した意向について、勤務時間の調整など具体的な配慮をしなければなりません。
2.育児休業の取得状況の公表義務の拡大
従業員千人超に適用されていた育児休業取得状況の公表義務が拡大、従業員三百人以上の事業主にも公表が義務付けられます。
3.介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等
事業主は、介護に直面した労働者に対して情報提供や意向確認を行い、雇用環境整備をすることが求められます。労働者への介護両立支援制度の周知や早期情報提供、テレワークの推奨、除外規定の廃止が義務づけられます。
実務対応としては、社内制度の検討の他、就業規則等や労使協定の改定が必要となるため早めの対応が求められます。