退職する際、年次有給休暇はすべて消化させなければならないのでしょうか?

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年次有給休暇は、従業員が請求した場合、指定された日に与えなければならないとされています。退職前に請求がないのに事業場から必ず消化させるようにしなければならないものではありません。退職時の有給消化に関しては、留意すべき次の点があります。

時季変更権

従業員が年次有給休暇を取得したいと請求した場合、事業の正常な運営を妨げない範囲で他の時季に与えることができます。ただし、退職前に全ての有給休暇を出勤日に使用したいといった場合には、時季変更権は行使できなくなります。退職を控えた従業員に対しては、本人の希望に沿って有給休暇を消化してもらうのが原則です。

計画付与制度

診療所の中には日頃から勤務割りの中に年次有給休暇を組み込んで(計画付与:有給休暇の内5日間は自由利用できるように残して計画的に付与していく制度)退職時に困ることがないようにしているところもあります。

退職日の確定

なお、年次有給休暇は、そもそも労働義務の発生する日に取得するものです。従って残っている年次有給休暇を消化しきれないからと従業員から請求があったとしても公休日に与える必要はありません。退職日が確定している場合は、その前に有給休暇を取得でき、退職前に有給休暇を取得できなかった場合、権利はなくなります。退職予定日を延ばす必要はありません。

有給休暇の買い取り

有給休暇の買い取りは原則として禁止されています。 有休は本来、従業員をリフレッシュさせるための制度。休ませずに有休の買い取りを行ってしまうと、有休の趣旨に反してしまうからです。但し、退職時の買い取りは例外的に認められることがあります。それは、あらかじめ就業規則に規定されている場合です。従業員から買い取りを希望されたら就業規則に基づいて説明して納得してもらうようにしてください。