職場における心の健康づくり

近年、経済・産業構造が変化する中で、仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスを感じている労働者の割合が高くなっています。

厚生労働省の「労働安全衛生調査 (実態調査) 」(2018年)によると職業生活でのストレス等を感じる労働者は、58.0%と高い割合を示しています。
この中で、職業生活における強いストレス等の原因は、仕事の質・量59.4%、仕事の失敗、責任の発生等34.0%、対人関係(セクハラ・パワハラを含む)31.3%などの順になっています。

また、業務による心理的負荷を原因として精神障害を発症し、あるいは自殺したとして労災認定が行われる事案が近年増加し、社会的にも関心を集めています。
自殺者総数が2万人を超えているなかで、労働者の自殺者数も6千人を超えて推移しています。

「職場のいじめ・嫌がらせ」は、労働者のメンタルヘルス不調の原因になることもありますが、都道府県労働局、労働基準監督署等に寄せられた相談件数の割合は増加の傾向が見られます。このように、事業場において、より積極的に心の健康の保持増進を図ることが重要な課題となっています。

心の健康対策(メンタルヘルスケア)の実施状況

一方、心の健康対策に取り組んでいる事業所の割合は59.2%で、これを事業所規模別にみると、100人以上のすべての規模で9割を超えており、また、50人以上のすべての規模で8割を超えています。 心の健康対策に取り組んでいる事業所のうち、心の健康対策の取組内容(複数回答)をみると、「労働者のストレスの状況などについて調査票を用いて調査(ストレスチェック)」(62.9%)が最も高く、次いで「労働者への教育研修・情報提供」(56.3%)、「事業所内の相談体制の整備」(42.5%)の順となっています。

厚生労働省は「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(メンタルヘルス指針、2006年3月策定、2015年11月30日改正)を定め、職場におけるメンタルヘルス対策を推進しています。

ここでは、「労働者の心の健康の保持増進のための指針」から、メンタルヘルスケアについてシリーズでご紹介していきます。

舟越社会保険労務士事務所(舟越雄祐)