開業保険医の明日を拓く

福島で多発している小児甲状腺がんなどの治療にご協力下さい

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「福島での小児甲状腺癌多発」を知っていますか。福島県民はみんな知っていて心配しています。
 私は、9年前に多くの医師と共に、ふくしま共同診療所を開設し、多くの市民の支援の下で、甲状腺癌を中心として、被曝による健康障害に対する医療に取り組んでいます。
 私は東京国分寺市で開業しており、保険医協会に入会して30年になります。
 大学を卒業後に武蔵野赤十字病院で研修し、その後 14年間、整形外科・救急救命部で勤務しました。
 また、その内1年半は海外で難民医療と戦傷外傷の治療に従事しました。

現在も続けられている甲状腺超音波検査

 東日本大震災と福島原発過酷事故から10年が経過しました。
 『原発事故はアンダーコントロール』『健康被害は現在も未来も起こらない』との誘致発言で「復興オリンピック」と位置づけられた、東京開催が目前に迫っています。
 『中止・延期』が世論調査で7割を超えているにも関わらず、コロナ禍のなかで強行するようです。
 この中で被災地の「復興」があまり進んでおらず、とりわけ福島では、原発事故のために6万人の強制避難が続いています。
 そして被曝による「小児甲状腺癌の多発」が問題になっています。
 福島県民の強い要望で、すでに9年前から、事故時0才から18才までの県民すべてに2年おきの甲状腺超音波検査を「長期にわたって」行う、県民健康調査検討委員会が発足しています。

原発事故による被曝の実態

10年前の地震・原発事故で、即座にチェルノブイリ事故と同様な被曝に対する検診体制の必要性(チェルノブイリでは明らかに生後の小児に甲状腺癌が発生した)、長期の避難、「難民」政策が重要だと考えました。
 実際には、県民健康調査検討委員会の初代座長に長崎大学(その後福島県立大副学長兼任)の山下俊一氏(震災直後の講演で「放射線の影響は、実はニコニコ笑っている人には来ません。・・これは動物実験で分かっています。酒飲みの方が幸か不幸か、放射線の影響少ないんですね」と発言)が就任し、検診が始まりました。
 事故前は年間100万に1~2人の小児での発生率に対して、福島では10年で252名が癌及び疑いとなり(福島県の小児0歳から18歳で35万人)、203名が手術を受けています。
 ところが、検討委員会は『中間報告』で
①数十倍の発生は認める
②地域差がない(→地域差が明らかなのに)
③放射線量が「極めて」少ない(→正確な線量の発表も無く、被曝量が少なくても、発癌することがありえるのではないか)
④男女比が違う(→当初は一般の発生のように女性が多かったが、現実にはチェルノブイリと同じ男女同数)
⑤年少の発生が少ない(→昨年になって当時0歳2歳の発生が報告されている)
 としていますが、どれも全く根拠がなくなっています。
 現在の主張はもっぱら、
⑥「過剰診療」のため(→驚くことに、『個別には、どれが進行する甲状腺癌かを、充分に識別する事は困難』としながら『過剰』に診断治療されていると断定)
としています。
 そして、「検診は心身に負担をかける」「社会的に不利が生じる」として、超音波検診を縮小・廃止へ向かおうとしています。
 あまりにもひどすぎる状況です。

被曝者・避難者は過酷な状況におかれている

現在、年間20mシーベルト以下の地域では避難指示の解除で、事実上の避難打切りと帰還の強制が行われています。(チェルノブイリでは1mシーベルト以下)
 10年にわたる被曝が続いており、しかも内部被曝の危険は考慮されていません。
 「関連死」も含めて福島県民の命と健康を守らねばなりません。
 放射線被ばくの持つ危険性が「ヒロシマ・ナガサキ・フクシマ」となって眼前にあります。関心をもち、調べてください。
 支援・援助を「フクシマ」に集中しましょう。


国分寺本町クリニック

院長 杉井 吉彦

※当記事は、福島で被曝による健康障害の医療に取り組む 杉井吉彦医師に協同組合ニュースへの寄稿を依頼したものです。

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